奥田民生/GOLDBLEND


【収録曲】
 Side.A
  1.荒野を行く
  2.マシマロ
  3.彼が泣く
  4.羊の歩み
  5.たったった
  6.ウアホ
  7.GOLDENBALL

 Side.B
  1.KING of KIN
  2.イオン
  3.ときめきファンタジーⅢ
  4.ふれあい
  5.近未来
  6.トロフィー

【クレジット】
 produced by 
  奥田民生
 performed by
  奥田民生
  古田たかし
  長田進(Dr.StrangeLove)
  根岸孝旨(Dr.StrangeLove)
  斎藤有太
 additionally performed by
  井上陽水 河合誠一マイケル 山岸ケン ken-ken
  ※井上陽水 by the courtesy of FOR LIFE RECORDS
 engineered by 宮島哲博
 assistant engineers 
  塩田修 甲斐俊郎 佐々木志了
  (ソニー・ミュージック信濃町スタジオ)
  内川岳浩 黒田かおり(一口坂スタジオ)
 cutting
  小鉄徹(JVC MASTERING CENTER)
 recorded and mixed at
  ソニー・ミュージック信濃町スタジオ
  シャイルパイルスタジオ
  一口坂スタジオ
 cutting at JVC MASTERING CENTER
 musical instrument techs.
  筋野利昭(SMA)
  須永敦(Bunt&Run)
  佐藤一二
  斉藤慶一
  水上祐助
  大場俊祐(SMA)
 directors
  河合誠一マイケル 内藤健一郎(SME Records) 
  山岸ケン(SMA/Hit&Run)
 A&R
  中田研一(SME Records) 
 managers
  原田公一 山岸ケン 栗山紀子(SMA/Hit&Run)
 sleeve designed by 山崎秀樹(STOVE)
 photographers
  三浦憲治(LightSome)
  舞山秀一
 styling by
  遠山直樹(FLOATING ISLAND JAPAN LTD.)
 hair & make-up
  国沢拓(HAIR&MAKE-UP sakura)
 cg art
  榎本百合恵
 visual co-ordination
  小国孝志(SMC)
  渡辺くみこ(SME)
 special thanks to
  田中三一(ソニー・ミュージック信濃町スタジオ)
  来城順一(cool corporation)
  ロッキー荒木(一口坂スタジオ)
  荒井チャー(レンホーク)
  畑山孝雄(モモセ・ハープシコード)

【荒野を行く】
ビートルズの「ゲットバック」を想起させるようなイントロに始まりますが、ただ「ゲットバックに似ている曲」では着地しない、OTの「パロディ力」が光る曲だと思います。冒頭で「あ、ゲットバックっぽい」と思わせつつ、曲の終わりにはしっかりと自分のものになっているところがすごい。
アウトロでは、1分51秒にも及ぶ長いセッションが展開されます。ライブでも盛り上がるところです。OTの聴かせどころは歌だけじゃないんです。

【「彼が泣く」と「イオン」】
この2曲の歌詞が秀逸すぎます。解釈をリスナーに委ねる描写をしています。
「彼が泣く」は、泣いている「彼」と慰めようとする「みんな」の様子のみを描写、「何が起こったか」には触れていません。
「イオン」では、「僕」の「体の力を全て奪う出来事」の話から一転、「イオン」の話をし始め、最後の一行で「昨日の話に戻ろう」と終わります。実はイオンの話の段階で「僕」がどれだけ元気がないのかを語っているのです。
このように、出来事の周辺のみを描写し、「何が起きたのか」を描写しないことによって「何が起きたのかはリスナーの解釈に委ねる」という歌詞になっています。

【「ウアホ」に垣間見える狂気】
喜怒哀楽の「怒」がこの曲に込められているのではないかと思えてなりません。
歌詞は「アホー」を連呼、その声に力はこもっていない。アレンジは打ち込みのサウンド、その裏に激しくプレイされているドラムとギターの音がかすかに聞こえる。
改めて聴いてみると、ストレートに表現し難い怒りを打ち込みとナンセンスに見える歌詞でなんとかマイルドにして見せているようにも見え、少し怖い曲です。

【A面とB面】
CDを聴いていたら到底気づかないことですが、レコードのA面とB面を意識した曲順になっていると思われます。A面のエンディングはこのアルバム唯一のインストゥルメンタル「GOLDENBALL」です。A面の最後にインスト曲を入れることによって、区切りを演出しているように聴こえます。

【近未来】
2000年3月のリリースのため、おそらく制作期間は1999年でしょう。この年は、7月にノストラダムスの予言が外れ、年末には誤作動が危惧された2000年問題があり、さらには世紀末と、まさにこの時代の空気感(空虚感ともいうべきか)を反映している曲だと思います。


【奥田民生がアナログレコードをリリースし続ける理由】
今でこそ音楽の聴き方が多様化し、アナログ回帰などといってレコードをリリースするアーティストが増えてきましたが、OTはCDのメガヒットと言われていた90年代も、そのCDが斜陽を迎えつつあった2000年代もレコードを出し続けていました。その理由が下記のインタビューで語られています。

ソロを始めてからは、レコードが好きというのもあって、アナログ盤も出させてもらってますが、基本的には買ってくれる方の選択肢を増やしたいというのが一番の目的ですね。

あと、レコードで出すとなったら収録分数が限られてくるのでちょっと曲づくりが楽だったり(笑)。1曲あたりの尺を長くできないし、だいたい3分ちょっとぐらいの曲になる。そういうレコード特有の縛りも、自分がやっている音楽に合っていると思うんですよね。

https://cocotame.jp/series/008763/

【謎】
僕はこのアルバムをリリース当時から知っていますが、今回クレジットを書き写していて、井上陽水が参加していることに初めて気づきました。今のように、レコーディング風景をDVD化するということがなかった時代の作品なので、どこに登場しているかわかりません・・・。陽水は一体どこに・・・。


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