2025年12月も暮れが迫った頃、近所のミニシアター系劇場で、ドキュメンタリー映画「みらいうた」を鑑賞した。138分という長い上映時間だったが、最後まで集中力を切らすことなく観ることができた。
ショービジネスの煌びやかな、僕ら一般人からは真逆の世界を見せられるのかと思えば、スクリーンには、老いや衰えという誰もが避けることができない現実に直面しながら、生業とする音楽と向き合う人間の姿がただひたすら映っていた。そんな2人のロッカーの姿は、人生そのものを讃美しているようで、観た私にとってもなかなかにハードな日常や現実と向き合う力をもらえた。
喉頭がんを患った音楽界の第一線で活躍するロックシンガー、吉井和哉と、脳梗塞に倒れ生活する夢に敗れてしまったミュージシャン、ERO。取り巻く環境が両極端でありながら、お互いの若かった頃への回想と、若さゆえの後悔、その延長線上で待ち受けていた今という現実や、移ろう時代の変遷と向き合う二人。僕は今、40代だが、その姿を見て、直に自分の10年後、20年後に想像が及び、身につまされる思いがした。
もう一つ映画を見て思ったのは、「吉井和哉の歌声はもはや当たり前のものではない」ということだ。
2024年のTHE YELLOW MONKEY復活のドームライブに向け、リハーサルに励む場面があった。その時の吉井の声はあまりにもガラガラで、高音が出ない状況が、ありのまま映像に映っていたことが衝撃的だった。
さらにはドームライブそのものが、直前までやるかやめるかの瀬戸際に追い込まれるまで、吉井の声が本調子ではない状態だった。がんは2023年に根治したと発表されているが、現在も専門医との診察を受けているという。
その姿を見ていると、今後、未来にリリースされるであろう作品や行われるであろうライブにも、その一つ一つが奇跡なのだ、と思えてしまった。
密着期間が3年以上とのことだが、だいたい2021年から2024年ぐらいの期間だろうか。ドキュメンタリーとしては長期間だが、人生の長さに比べれば一部分でしかない。その約3年間の限られた期間でありながら、人の人生の全てを見せられたたというぐらい見応えがあった。かくいう私も、会社からの期待の輪からは外れ、転職しようにも自分の市場価値が見出せない、今、どうするべきか答えがわからない日々を送っているが、これもたかが「人生の一部」であるというエールを送られた気がする。
「人生の7割は予告編で 残りの命 数えた時に本編が始まる」
吉井さんの本編はもう始まったんだろうか。今後の活動にも期待したい。

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