2009年6月24日に発売された木村カエラのメジャー5枚目のアルバム。
「Butterfly」が収録されているアルバムといえば大体の説明がついてしまうアルバムではある。
「Butterfly」は、今や結婚式の定番ソングとして、幅広い層に認知された曲だが、それまでの木村カエラのカラーだった、ポップでキャッチーなメロディと、エッジの効いたロックサウンドが共存する独特の世界観とは違い、デビューアルバムからのリスナーだった僕としては、「本来の方向性とは違う形で有名になってしまったな」という感想を当時思っていた。
そんな強烈曲「Butterfly」を収録したアルバム「HOCUS POCUS」。
確か、僕はリアルタイムに購入はせず、リリースから時間が経ってからの購入だったと思う。そして購入からの再生回数は少なく、アルバムとしての印象は薄い。
改めて聴いてみる
改めて今、聴いてみた。
オープニングの「Dear Jazzmaster ’84」。ゆるく始まるかと思いきや激しいイントロに変化し耳を驚かせる。Queenのアルバム「JAZZ」を思わせるいい意味での違和感。「どきっと感」というべきだろうか。そこから2曲目の「マスタッシュ」につながっていくオープニングはかっこいい。今のところいいスタートだ。
5曲目では文句なしのキラーチューンとなる「Butterfly」がフックになる。
ところが、7曲目のタイトル曲「HOCUS POCUS」を聴き終えたあたりで集中力が切れてしまった。なんか間延びする。
「Butterfly」のインパクトが強力過ぎて、アルバムとしてのバランスが損なわれてしまった感じがする。なぜか中盤の7曲目に「HOCUS POCUS」が始まり、このアルバムがどういうアルバムなのかがわからなくなってしまった。
おそらくこれが、リピートしなかった要因だと思う。
今聴いてもいい曲
アルバム単位では微妙であったとはいえ、曲単位で見ると、「マスタッシュ」や「BANZAI」など、今聴いてもいいと思える曲はある。
特に「BANZAI」は、avengers in sci-fiが曲とアレンジを手がけており、作詞が木村カエラが担当しているが、avengers in sci-fiのゴリゴリなミクスチャーロックの雰囲気に、木村カエラの独特な言語感覚による歌詞が絶妙で、前述のポップでキャッチーなロックを体現している。
avengers in sci-fiは聴く層がはっきりしていると思うが、「おさのこさいさい」とか「ダメならダッサイ」のような、木村カエラの言葉が乗っかることによって、誰でも聴けるポップなミクスチャーロックになっていると思う。
率直な感想は・・・
でも、このアルバムを聴き終えた後の率直な感想としては「もう1回Magic Musicが聴きたいな」というものだった。残念だが過去作を超えるインパクトはなかった。
フリマサイトで査定してみると、金額は500円だった。代表曲とも言える「Butterfly」を擁したアルバムでもこの金額。儚いものである。


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