
収録曲
Back in the U.S.S.R.(Lennon/McCartney)
Dear Prudence(Lennon/McCartney)
Glass Onion(Lennon/McCartney)
Ob-La-Di,Ob-La-Da(Lennon/McCartney)
Wild Honey Pie(Lennon/McCartney)
The Continuing Story of Bungalow Bill(Lennon/McCartney)
While My Guitar Gently Weeps(Harrison)
Happiness is a Warm Gun(Lennon/McCartney)
Martha My Dear(Lennon/McCartney)
I’m so tired(Lennon/McCartney)
Blackbird(Lennon/McCartney)
Piggies(Harrison)
Rocky Raccoon(Lennon/McCartney)
Don’t Pass Me By(Starkey)
Why don’t we do it in the road?(Lennon/McCartney)
I Will(Lennon/McCartney)
Julia(Lennon/McCartney)
Birthday(Lennon/McCartney)
Yer Blues(Lennon/McCartney)
Mother Nature’s Son(Lennon/McCartney)
Everybody’s Got Something to Hide Expert Me and My Monkey(Lennon/McCartney)
Sexy Sadie(Lennon/McCartney)
Helter Skelter(Lennon/McCartney)
Long,Long,Long(Harrison)
Revolution Ⅰ(Lennon/McCartney)
Honey Pie(Lennon/McCartney)
Savoy Truffle(Harrison)
Cry Baby Cry(Lennon/McCartney)
Revolution 9(Lennon/McCartney)
Good Night(Lennon/McCartney)

クレジット
George Martin
Chris Thomas
Ken Scott
Jeff Emerick
Barry Shefield
John Smith
Richard Hamilton
Gordon House
Jeremy Banks
John Kelly
Linda Eastman
Mal
Kevin and all at number 9

概容
自身が設立したアップル・レコードからリリースされた最初のアルバム。
ジャケットは、ポップ・アートの最先端だったデザイナー、リチャード・ハミルトンによる提案で白いジャケットとなったため、俗称として「ホワイト・アルバム」と呼ばれるようになった。
「リボルバー」・「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」と、サイケデリック作品を経た後のアルバムで、それ以前の作品と比べてサイケデリック色は薄れたと評されているが、純粋なロックサウンドに戻ったというよりは、前作までのレコーディングノウハウを踏襲したロックサウンドという感じがあり、初期のサウンドよりも重みと厚みを感じる。
同じ年の1968年には、ジミ・ヘンドリクスの「エレクトリック・レディランド」、クリームの「クリームの素晴らしき世界」、マイルス・ディビスの「マイルス・イン・ザ・スカイ」などがあり、サイケ色の高い音楽が流行っていたことが想像できる。
バンド仲に陰り・・・その中でも名作として成立
この時点で、バンド内はジョンとポールの確執、しらけるリンゴ、肩身が狭いジョージと、決して仲はよくなかった様子。
メンバーはレコーディングにあたり、ギター・ベース・ドラムなど担当楽器にとどまらず、ジョンがドラムを担当する楽曲があったり、外部のゲストがレコーディングに参加する楽曲があったり、あるいはメンバー間の衝突からメンバーが参加していない楽曲があったりと、すでに「ロックバンド」としてのビートルズというよりは、「プロジェクト」としてのビートルズが制作していた印象がある。
「Back in the U.S.S.R.」は、リンゴがドラムを叩いていない。他のメンバーが好き勝手に制作に取り組む中、なかなか自分の出番が来ない事に疎外感を感じていたリンゴがドラムをプレイした所、ちょっとしたズレをポールにからかわれ、ブチギレたリンゴはその場から離脱している。
「The Continuing Story of Bungalow Bill」では、ジョンがレコーディング現場にまで連れてきたオノ・ヨーコのコーラス参加に不満を持ったポールが離脱。
ジョージは、ビートルズの中でも数々の名曲を生み出し、抜群のソングライティング力があるものの、ビートルズ内ではレノン&マッカートニーを前に発言力がない。ジョージの曲を採用するか否かはジョン・ポールの許可次第だった。「While My Guitar Gently Weeps」は、このアルバムで採用された数少ないジョージ作品。ちなみにエリック・クラプトンがギタリストとして参加している。
このように、制作背景はかなり悪いコンディションの中で行われたようであるが、アルバムを聴くと、そんな事は微塵も感じさせない名作となっており、アルバム名に自らのバンド名を冠するに値する自信作だということが窺える。「Birthday」や「Helter Skelter」のように楽しそうな曲は本当に楽しそうにプレイしている。
プロのミュージシャン達がプロとしてそれぞれの価値観で音楽と向き合い、尊重するべきところは尊重するが、衝突も繰り返す。ビートルズの決して綺麗事ではない「職業ミュージシャン」としての本質がこのアルバムには詰まっている。
