再結成が一過性ではないことを確信させた一枚
2010年6月9日にリリースされたUNICORNの12th MAXIシングル。2009年の再結成後の「WAO!」、「半世紀少年」を経て3枚目のシングルにして、奥田民生が初めてヴォーカルを務める。
作詞は奥田民生。作曲は奥田民生・手島いさむ。
古くからの音楽ファンにとって、再結成したバンドにつきまとう懸念、それは「長続きしないんじゃないの?」という問題である。
再結成当初はそれなりに盛り上がるが、どこか同窓会的で一過性のムーブメントで終わり、やがてフェードアウトしていくのではないか、という不安が心のどこかにある。実例をすぐに思い出せるわけではないが、過去にそういうグループが多かったという記憶があるからだと思う。
UNICORNが2009年に再結成したときもそうだった。シングル「WAO!」、アルバム「シャンブル」のリリースと全国ツアー「蘇える勤労」を終え、再結成にまつわる一連のムーブメントが終わったとき、「この先はあるのか?」と、少し半信半疑だった。
「裸の太陽」のリリースは、そんな懸念を払拭し、現在進行形のユニコーンを示すには十分な一枚となった。
世間の期待をスカすユニコーンのカッコ良さ
そして注目したいのは、再結成後のシングルのリリース順である。
再結成発表後にリリースされた第一弾シングルは「WAO!」。なんとヴォーカルを務めたのは奥田民生ではなく阿部義晴。第2弾シングルが「半世紀少年」こちらもメインヴォーカルは川西幸一と、定石ではメインヴォーカルの奥田民生を起用しそうなものを、あえて定石を外したヴォーカル起用となっている。
僕は1993年のユニコーン解散後にソロ活動をしている奥田民生を知り、逆算的にユニコーンを追い始めた、いわばオールドファンと新規ファンの中間にいるリスナーだが、その僕でもこのリリース順は、「ユニコーンやってくれたな!」と歓喜したものである。予定調和や、世間の期待をスカしてくるこの裏切りが、ユニコーンのカッコ良さなのだ。若い頃のユニコーンをリアルタイムで追えなかった僕にとって、この裏切りをリアルタイムに感じることができて、それはもう大歓喜だった。
奥田民生のソロの雰囲気をユニコーンでやっている感じ
サウンドはというと、作詞・作曲を手がけた奥田民生が歌で、手島いさむがギターで活躍。
手島いさむのギターが「WAO!」の勢いをそのままに、ライトハンド奏法や、弦をピックで擦るピックスクラッチと、ハードロックやメタルで多用されるテクニックが炸裂。それでいて、曲の仕上がりはハードロックやメタルのそれではない。
川西幸一をはじめとしてメンバー一同、年相応なビートで全体をコントロールし、そこに奥田民生の軍歌のような歌のメロディが乗る。奥田民生がこれまでソロでやってきた雰囲気をユニコーンメンバーで演奏している、爽やかな夏のスポーツ応援歌、という感じである。
この奇跡のバンドに慣れてはいけない
その後の翌2011年には、「裸の太陽」を収録したアルバム「Z」のリリースにつながっていくことになり、「死ぬまでユニコーンやります」という宣言を見事に実現してくれ、活動が一過性のものではなく、恒久的なものであることを確信させてくれた。
とはいえ、ソロ活動として一流を極め、PUFFYのプロデューサーとしても活躍の奥田民生に、氣志團の総帥として名を馳せる阿部義晴といった、それぞれが個々に価値を磨いてきたこの5人が同じベクトルで活動するのは奇跡であり、その奇跡を同じ時代に感じることができているのだ。
現時点で、再結成からもう16年の月日が経過してしまっているが、熱心なリスナーの一人としてはこの奇跡に慣れたくないな、と思うのであった。