「思い通り 願い通り いって何が楽しい? 予想外のハプニングが僕を大きくする」
このフレーズを鼻歌で歌えば、しばらくは前向きに生きていけそうだと思えた日。
5月10日、ミスチルメジャーデビュー34周年という激アツな日にコンサートのチケットが取れてしまった。
13時に仙台市内の自宅を車で出発。利府街道で「ミスチル渋滞」にハマりながら14時ごろに到着。
約1時間を車の中で過ごし、開場時間の15時にセキスイハイムスーパーアリーナの敷地内に入る。
トイレ行列の中で用を済ませ15:20。開場内に入場。
※ここからがネタバレを含みます。

入場と同時に目を疑った。
ステージがアリーナに対して縦長に伸びている。
今回当選した座席はスタンドのOブロック。事前の位置確認では、ステージ真横から見る感じになるのかな、と思っていた。
長年、いろんなコンサートを見てきて、ミスチルのセンターステージは初かも知れない。始まる前から、ワクワクする。
そしてもう一つ。開演前のステージには楽器が一つも置かれていない。これ、どうやって楽器をセットするのだろう。
開演15分前。蛇腹のような通路ができる。控え室から演者がステージに移動しているのだろう。
ちょっと早めに入場しておいて良かった。開演が待ち遠しいという感覚はなく、見たことがないセンターステージと、開演までの動きからどんなライブになるのかを想像しているこの40分間は退屈しなかった。
※開演前の会場にはBGMにコールドプレイの「イエロー」が流れていた。「Glastonbury」の詩の中に出てくるクリスが所属するバンドだ。
16:00、客電が落ち、歓声とともについに開演。ライブが始まる時のこの歓声は何度聞いてもいい。僕にとってパワースポットだ。
オープニングムービーの後、「キングスネークの憂鬱」のイントロが流れ、縦長に伸びるステージの端の方にスポットが当たり、コンマ数秒後にそれが櫻井さんであることがわかった。いつの間に?
曲の途中でステージの中央の突然、楽器とバンドメンバーが現れる。まるでイリュージョンだ。なんか今回のライブでは、暗転している間に何かが起こっている。その間、観客の視線を別のところに誘っている、そんな感じだ。ライブが終わった今もどういう仕掛けになっていたのかわからない。
そして、バンドメンバーが現れた瞬間、人数が櫻井さんを除く5人で、サポートにサックスの山本拓夫と、キーボードのSunnyが参加していることが目視できた。
映像を含め、長年ミスチルのライブを観てきているので、ついミスチルのセットリストには何かのメッセージがあると考察してしまいがちだが、開演から数曲については脈絡がわからなかった。先のテレビのインタビューで語られたとおり、音へのこだわり、リズムの繋がり、音色の繋がりで選曲された結果が冒頭の4曲だったように思える。意味の繋がりは感じなかった。ただ、楽器やメンバーが瞬時に現れては消える、6枚(?)のスクリーンが曲に合わせて自在に動く、ドラムセットが自分から向かってステージの右端に突然現れてジェンさんが近くに来る(これには驚いた)、ステージ周辺をドローンが飛び、ドローン映像がスクリーンに投影されるなど「今日はこういうステージでやるよ」という説明には十分なオープニングの4曲だった。
始まって5曲目。「Saturday」のイントロと同時にステージが明転し、鳥やゴリラなどの動物を模ったポップアップバルーンが姿を現した。
ミスチルがアリーナに公園を作っている。というよりも、これまでの目まぐるしい情景の変化からするに、もはやステージ上にテーマパークが現れたようでもある。
「空也上人」で、櫻井さんはサビのフレーズを客席に振り、コールアンドレスポンスを促した。
「思い通り 願い通り いって何が楽しい? 予想外のハプニングが僕を大きくする」
僕はこれまでの人生で、「自ら言葉にすると幸せになる」とか、「私はツいていると言いなさい」というような、ややスピリチュアルな話を何度も聞かされてきたし、そういう類の本も読まされてきた。その効果については理解しているつもりだが、「そんなに楽しいことばかりではねぇよ」という自分が常にいる。
2024年の「Miss you」のツアーでも、「End of the day」で大事なフレーズを客席に歌わせていた。
「この言葉を自分の口から発してごらん。気持ちが前向きになるから。」という無言のメッセージを感じた。実際、その言葉を口ずさむと前向きな気持ちになれた。
「I’LL BE」のシングルバージョンの選曲はサプライズだった。今、この曲を引っ張ってくるのはさすがは王道と意外性のミスチル。周年のライブでは到底選ばない曲が聴けるのがオリジナルアルバムのツアーの醍醐味だ。
「I’LL BE」から、「again」へ。
「again」が終わると同時に、低音の四つ打ちから始まった。古参のミスチルファンとしては「光の射す方へ」のイントロを想起させる。歌い出しで「蘇生」であることがわかる。いいアレンジだ。蘇生って四つ打ちの曲だったんだ。
「I’LL BE」・「again」・「蘇生」で、「何度でもやり直せる」というメッセージが沁みた。その後「産声」で人生を肯定してくれた。最高の盛り上がりの中で本編が終わる。
アンコールでは、「It’s a wonderful world」と「足音 ~Be Strong」を披露。
SNSでよく、「同じ時代に生きてくれてありがとう」という感想を目にする。
全くその通りだと思う。
あらゆる答えの見つからない問題が多すぎる中で、「まだやれることはある」「この足音を聞いている人がきっといる」という言葉を、同じこの時代を生き抜く者のアンサーとして受け取った。
アンコールの最後がミスチルメンバー4人だけがステージに上がり、「家族」を演奏。
ミスチル4人だけの演奏は実にエモかった。
田原さんのボーカルに並走するギターがよく聴こえる。この曲はミスチル版「Get back」だと思う。
家に帰ってからあらためてセットリストについて振り返ってみた。
アルバム「産声」のオープニング曲「キングスネークの憂鬱」に始まり、エンディング曲の「家族」で終わった。「Nowhere Man ~喝采が聞こえる」と「Umbrella」はセットリストから外れたが、アルバム13曲を過去曲で補足するような構成だった。今回のツアー日程が6月末で一度中休みに入り、10月に再開する。前半と後半で曲を入れ替えてきそうな気がする。もし今ツアーが円盤化したら、2枚組で両パターンが見られるかもしれないと期待。
映像でも見られると思うけど、肉眼で見るミスチルはやっぱり最高だ。
映像では映らない光景が視界いっぱいに広がり、良質な生音が全身を包んでくれる。
脳は、今の気持ちを満たすように、常に都合の良い言葉を吸収しようとする。
この日、僕が吸収した言葉は、
・「共に今を生き抜こうかMy friend」(FIGHT CLUB)
・「飛び出そう 自分の外側に」(Glastonbury)
・「思い通り 願い通り いって何が楽しい? 予想外のハプニングが僕を大きくする」(空也上人)
・「何度ヘマしたっていいさ 起死回生で毎日がRevolution」(I’LL BE)
・「やり直すだけ 繰り返すだけ」(Again)
・「僕らにはまだやれることがある」(It’s a wonderful world)
・「この足音を聞いてる誰かがきっといる」(足音)
大変な日常があるからこそ、音楽が沁みるんだな。
これらの言葉を胸に、また日常を生きていこう。

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